2018.07.16社員ブログ

ポスター製造スタッフ【成井の目】種まき

おはようございます。
製造・成井です。

以前聴いた法話からの抜粋です。

場所は小学校の放課後の教室。
A君とB君はサッカーごっこをしていて、教室の花瓶を割ってしまいました。

その花瓶はみんなの寄せ書き入りの大切な花瓶だったのです。
怖くなった2人は、すぐその場から逃げました。

翌日の放課後、サッカーボールと壊れた花瓶の状況証拠から
誰がやったのか、緊急のホームルームの時間になりました。

「正直に申し出る者が出るまでホームルームは続行だ」という教師に
教室中「やった奴、早く言えよ~」という雰囲気です。

いたたまれなくなったA君が、B君の方に目をやると、
ちょうどB君と視線が合いました。

B君は真摯な顔もちで、ゆっくり静かにうなづきました。
「あー、これは自分達がやったのを告白しようと
 B君は言っているんだな」とA君は判断し、静かにうなづき返しました。

一呼吸置いて覚悟を決めたA君、
「はい、自分がやってしまいました」と手を挙げました。

当然、後に続いてB君の手をあげる声が聞こえるかと思いきや、
なんとB君は知らん振りしています。
結局、教師から叱られたのはA君だけでした。

B君のうなづきは
「黙っていようぜ。どうせわかりっこないんだから」
というサインだったのです。

ホームルームが終わり、B君がやってきてA君に言いました。
「お前、馬鹿だな。黙っていれば俺たちってわかるわけないだろ、
 なんで言うんだよ、バ~カ」と耳元で言います。

このときA君は「あ~、格好悪い」と悔やんだ、ということですが・・・
これは本当にA君は格好悪いといえるでしょうか?

もしもあなたが、
A君一人謝り、叱られ、恥をかき、B君は謝ることなく、誰からも叱られず、
A君は損をし、B君は得をしたように見えるとしたら、それは近視眼的な見方です。

もっと高所大所から見れば、謝罪したA君は得をし、B君は損をしているのです。

もしあなたが、このときの小学校の教師だとしたら、
申し出たA君に対して、どんな気持ちを持たれますか?

時間が経てば、決してマイナス評価にはならないのではないでしょうか。
むしろ「正直で人間的に見込みがあるな」と、好印象を持つのではないかと思います。

失態を正直に申し出て謝罪するのは基本中の基本ながら、
大人でもなかなか実践できないことですから、正直に申し出たA君を立派だなと思うと思います。

もちろん立場上叱りはしますが、心の中では、
A君の正直さを好ましく思うのではないでしょうか。

クラスメイトとて、A君のことを格好悪いと思わないでしょうし、
すぐ忘れてしまいますし、成熟した生徒ならかえって
「あいつ、まっすぐな奴だな」と、別の意味で記憶してくれるでしょう。

一方、ごまかしたB君はどうかといえば、教師やクラスメイトの記憶にも残らず、
もし後に目撃者の発言で、B君も共犯だったと発覚したときには
教師からもクラスメイトからも著しく信用を失い、
悪い意味で記憶に残り、それこそ「格好悪い」結果を招きます。

その場その時の事象だけ見るのではなく、長いスパンで視野を広げれば、
どちらが幸せになるか、明らかでしょう。

さらにいえば、人がどう思うかに関係なく、
謝罪のできる人は、やがて問題点を克服し、向上していきますが、
謝罪せずごまかす人は、向上できず、同じ失態を繰り返し、
ごまかしを重ねなければならなくなります。

慢性化したごまかしは、裏表のある人格になり、
顔つきや態度、口調にも、それはにじみ出て、
ごまかしきれないものとなっていきます。
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善くも悪くも「まいた種は必ず芽が生える」の仏説通りなのですね。

今日も毛が無く、否、怪我無く!